一弦琴の音色のようです
明治という時代を生きた女性たちの生き様に身が引き締まる思いがしました。
「苗」の凛とした姿や「蘭子」の気高さは今の日本人にはないように思えるだけに、
時代という大きな波には逆らえないのだなと。
二人の相反する女性は人間の表裏のようで考えさせられました。。
女の一生
男の一生も、かくありたいものです。
天の原ふりさけみれば春日なる
三笠の山に出し月かも
安倍仲麻呂
凛とする
不幸な結婚、一絃琴の塾の盛衰、女弟子との確執といった、女が自由に生きる事の難しい時代のひとりの女の生涯とその後。 どろどろすることなく、まさに「一絃の琴」のごとく凛とした語り口。淡々と物語りは進むが決して退屈などではない。どこがクライマックスということはなく主人公の凛とした生き方が心に染み入る。確かに現実の人生もクライマックスなどない。主人公のように凛としたした生涯でありたいと思った。
「極める」こと
旅の絵師が目の前で奏でた一弦琴に魅入られて、夢中になって、その技術を極めていく主人公 苗。 琴への情熱と、師匠への愛情に翻弄されながら、大人になっていく苗の姿が、生き生きと描かれています。 彼女の夢中さが、いつのまにか世の中のブームになっていき、その中へ巻き込まれながらも、「大切なものは何か」を、彼女は知っていたのではないかと、そして、その問いが、自分自身に投げかけられているような気が何度もしました。 特に、彼女の門下生との確執の場面は、苗にとっての一弦琴が何であるかを、そして、私たちにとっての「一弦琴」のようなものは何か、を考えさせられるほど、生々しく描かれています。 夢中になる事。 人に流されない真摯さ。 大事なものを守る努力。 そんなことを教えてくれる一冊でした。
講談社
伽羅の香 (中公文庫) 櫂 (新潮文庫) 春燈 (新潮文庫) 序の舞 (中公文庫) 朱夏 (新潮文庫)
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